上野大仏へ行ってきた
東京・上野恩賜公園と言えば、上野動物園や東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館など、日本有数の文化施設がある公園です。
この公園内に、野外仏ファンであれば1度は訪れたい(と思うはずの)〝仏件〟があります。
「上野大仏」です。
真冬の2月のある日、曇り空ながら、ややあたたかな日に訪ねてきたので、ご紹介します。
上野大仏とご対面
上野公園を、西郷隆盛像から動物園の方向へ歩いていくと、左側に「上野大佛」と大きな文字で表記された案内板があります。
この横の階段を30段くらい上ると、目の前にオリエンタルな石塔があらわれます。
石塔のなかには、本尊を薬師如来とし、その両脇に日光菩薩と月光菩薩を従えたスタイルをとる3つの仏像が安置されています。
その石塔から左側へ目を移すと……
いました!
〝巨大顔面仏〟こと「上野大仏」です。
仏の種類としては、釈迦如来になります。
この上野大仏、どれくらい顔がでかいかというと――
お参りしていた女性の背丈が、ざっと見たところ160cmくらいだったので、そこから推測するに、顔だけの高さは150cm前後ではないかと思われます。
上野大仏の顔をよく見ると、唇の一部に紅(べに)が……
なぜか妙に色気を感じてしまいました(汗)
上野大仏の歴史
それにしても、なぜ上野大仏は〝顔だけ大仏〟なのでしょうか?
大仏の横に設置された案内板に、その理由が書いてありました。
案内板によると、上野大仏は1631年(寛永8年)に造立されました。
その後、大仏は改修を経て、高さ6メートルの銅仏になりました。
しかし、大仏は地震や火事に何度も見舞われ、1923年(大正12年)の関東大震災のときに、ついに顔が落ちてしまいました。
再建計画はあったものの、第二次世界大戦のときに胴体部分は軍へ供出され、顔だけが残りました。
そして、1972年(昭和47年)春、現在の位置に顔のみがレリーフ状態でまつられることになったのです。
数奇な運命をたどったんですね……(涙)
上野大仏は「合格大仏」 そのわけは……
上野大仏の顔レリーフの横には、絵馬がいっぱい結びつけられています。
見ると、「合格祈願」の文字。
顔だけの上野大仏になぜ「合格祈願」のご利益が?
さっきの案内板をもう1度見ると――
「これ以上落ちない合格大仏」として広く信仰を集めています。
大仏に手を合わせていた先ほどの女性も、何かの試験の合格を願って拝んでいたのかもしれません。
ちなみに、上野大仏の近くには、「学問の神様」として有名な湯島天神があります。
受験生は、湯島天神と上野大仏の両方を参拝すると、ご利益が倍増するかもしれませんね。