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ヘーゲル入門書の選び方【先に結論】
予備知識がほとんどなければ、長谷川宏氏の『新しいヘーゲル』を最初の一冊に選ぶとよい。「自由」という問いを軸に考えたい人は『ヘーゲルを読む』、弁証法・国家論・論理学などを体系的に整理したい人は『ヘーゲル哲学入門』が向いている。
| 本 | 向いている人 | 難易度 | 読む目的 |
|---|---|---|---|
| 新しいヘーゲル | 初めてヘーゲルに触れる人 | やさしい | 意識・歴史・弁証法の輪郭をつかむ |
| ヘーゲルを読む | 自由の問題から考えたい人 | 標準 | 『精神現象学』も参照しながら自分の問いを深める |
| ヘーゲル哲学入門 | 体系的に学びたい人 | 標準~本格的 | 思想形成から論理学・国家論まで整理する |
初心者向けの読む順番
- 『新しいヘーゲル』で、ヘーゲルが何を問題にしたか全体像をつかむ
- 「自由」に関心があれば『ヘーゲルを読む』、体系を学びたければ『ヘーゲル哲学入門』へ進む
- 原典に挑戦したくなったら、解説書と翻訳を併用して『精神現象学』を読む
3冊すべてを買う必要はない。最初の一冊で輪郭をつかみ、次は「自由」か「体系」のどちらに関心があるかで選ぶと、読書の目的がはっきりする。
なぜ入門書から始めるのか
ヘーゲルは、カント以降の哲学に加え、歴史、社会、宗教、芸術まで広く論じた。その著作は専門用語が多く、最初から原典を一人で精読しようとすると議論の位置を見失いやすい。入門書を使って、「何を問う本か」という地図をつくってから本文へ進むほうが理解しやすい。
おすすめのヘーゲル入門書3選
以下では、3冊の長所と注意点を順に紹介する。出版社の紹介と実際の本の内容を確認しながら、自分の目的に合う一冊を選んでほしい。
『新しいヘーゲル』
向いている人:予備知識がなく、まず思考の輪郭を知りたい人
難易度:やさしい
選ぶ理由:弁証法、意識、歴史、自由と自立を平易な日本語で紹介する講談社現代新書
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『新しいヘーゲル』である。
著者は、ヘーゲルの講義録を弟子がまとめた『哲学史講義』『歴史哲学講義』の訳者である長谷川宏氏だ。
長谷川氏は、ヘーゲルの翻訳でも日常的な日本語を大切にしてきた。本書では入門者が弁証法や歴史の考え方をつかめるよう、平易に説明している。
その長谷川宏氏が、ヘーゲル哲学の全体像をざっくり描いてみせている。
ヘーゲルが思考や理性をいかに重んじたかということがよくわかる。
ただし、本書『新しいヘーゲル』は、体系的な入門書というわけではなく、予備知識がなくてもヘーゲル哲学の輪郭がわかる〝入門書風エッセイ〟と言ったほうがよい。
しかし、それでも、初学者がヘーゲル哲学に気軽に触れられるという点では、貴重な1冊だと言えるだろう。
『ヘーゲルを読む』
向いている人:「自由に生きる」とは何かを哲学から考えたい人
難易度:標準
選ぶ理由:『精神現象学』や論理学、法・国家・歴史を自由という問いでつなぐ
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『ヘーゲルを読む』である。
著者は、ドイツ哲学の研究者である高山守氏だ。
ヘーゲル哲学を、私たちが自由に生きるための哲学的根拠をさぐる「自由の哲学」ととらえ、〝自由に生きるとはどういうことか?〟という問いを、おもに『精神現象学』を参照しながら考えていくというスタイルをとっている。
本書『ヘーゲルを読む』は決してヘーゲル哲学の体系的な入門書ではないが、高山守氏の問題意識にもとづいてヘーゲルを読んでいくので、読者もいっしょに考えさせられるし(←これがいちばん重要)、そうやって考えていくうちに、ヘーゲル哲学の論理が理解でき、また、そのおもしろさもわかってくる。
その結果、〈自分もいっちょ、ヘーゲルの著作とやらを読んでみようか!〉という気になれる。
左右社の「放送大学叢書」として刊行された本で、著者の問いに沿いながら各章を読み進められる。
『ヘーゲル哲学入門』
向いている人:ヘーゲル思想の背景と体系を段階的に学びたい人
難易度:標準~本格的
選ぶ理由:思想形成、弁証法、精神現象学、論理学、近代国家論を整理し、巻末に用語解説と文献案内がある
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『ヘーゲル哲学入門』である。
著者は、ヘーゲル研究者である寄川条路(よりかわ・じょうじ)氏だ。
上記で紹介した『新しいヘーゲル』と『ヘーゲルを読む』の2つの著作は、必ずしもヘーゲル哲学の体系的な入門書ではない。
一方、本書『ヘーゲル哲学入門』は、ヘーゲル哲学を体系的に学びたいという人に向いている。
ヘーゲル哲学の特徴に始まり、大学時代の同級生で詩人・思想家のヘルダーリンからの影響、弁証法の成り立ち、近代国家論、精神現象学、論理学などについて言及されている。
ただし、その記述は、ヘーゲル哲学をその著作から引用しながら再構成するといったものではない。
〝寄川条路氏のヘーゲル論〟的な論述となっている。
しかし、そのぶん、明確なヘーゲル像が描かれている。
巻末についている「用語解説」と「文献案内」は、これからヘーゲル哲学を学ぼうとする人に大いに役立つはずだ。
刊行当時の研究動向にも触れるが、現在の研究状況を確認したい場合は、新しい文献とあわせて読むとよい。
よくある質問
ヘーゲル初心者に最初の一冊はどれがおすすめ?
読みやすく全体の輪郭をつかめる『新しいヘーゲル』がおすすめ。特定の問題に関心がある場合は、自由を軸に読む『ヘーゲルを読む』から始めてもよい。
ヘーゲルの弁証法を学ぶにはどれ?
最初は『新しいヘーゲル』で考え方の輪郭をつかみ、思想形成や論理学との関係まで整理したければ『ヘーゲル哲学入門』へ進むとよい。
『精神現象学』をいきなり読んでもよい?
原典から始めてもよいが、難解な箇所が多い。入門書で全体像を確認し、解説書を横に置いて翻訳を読むと挫折しにくい。
3冊とも買う必要はある?
ない。最初は一冊を通読し、そのあと「自由」か「体系」のどちらをもっと知りたいかで二冊目を選ぶ。
次にヘーゲルの原典へ進む
入門書の後に主著へ進む場合は、『精神現象学』の翻訳3選・解説書2選で版の違いと読む順番を確認できる。用語でつまずいたら、哲学用語辞典3選を参照してほしい。
まとめ
- 最初の一冊には、平易な『新しいヘーゲル』
- 自由を軸に考えるなら『ヘーゲルを読む』
- 弁証法・国家論・論理学などを体系的に学ぶなら『ヘーゲル哲学入門』



